2001.9.1
サンゴにまつわるお話-第3話 <サンゴの障害>
今回は、私達がサンゴを移植放流する際の様々な障害についてです。
私達が移植放流したサンゴが、1年、2年・・・と成長して大きくなり、豊かなサンゴの森になるためには様々な障害を乗り越えていかなければなりません。前回、植えたサンゴを魚が引き抜いてしまったという話をしましたが、そのぐらいのことはかわいいもので、滅多に起こるものではありません。
特に深刻な障害となりそうな例を挙げると、
・台風によって海中がかき回されると、移植して間もないサンゴは岩盤に活着していないため流されてしまう。
・水温上昇によってサンゴの栄養源の褐虫藻が抜けて、サンゴが白化し、死んでしまう。
・漁船や釣り船などがサンゴを植え込んだポイントにアンカーを入れて折ってしまう。また、釣り糸や重りを引っかけてしまう。
・ダイバーや海人が気づかずに折ってしまう。(ダイバーはこの海域には入っていないと思いますが・・・)
・大きな貝類やナマコ、大型のカニがはいずり回ってサンゴを折ってしまう。
・サンゴを食べてしまう生物が襲ってくる。(ブダイ等の魚やレイシガイの仲間、オニヒトデなど)
29℃〜30℃の高海水温が続いています。
シロレイシガイダマシという貝類の仲間によって食べられた、移植したサンゴ 40Bもある大型のバイカナマコ。
心配事は山ほどあります。もちろん、これらの障害が出来るだけないような場所を選んだり、回避しやすいように工夫したりしていますが、なにぶん自然相手のため完全に障害を取り除くことは出来ません。また、石垣島の海人(漁師)は、生活のために魚を採らなければなりませんから、海にアンカーを入れるなとも言えません。
黒島リーフ内の白化したサンゴ群落 (2001.8.30 撮影) 西表島周辺の健全なサンゴ群落 (2001.8.29 撮影)
今年、八重山諸島の近海では1998年の大白化とほぼ同じ現象が起きていて、船の上からでも白くなったサンゴをあちこちで見かけます。
このように白化が続いても、サンゴは褐虫藻なしでしばらくは生きていますが、褐虫藻がサンゴに戻らないとやがて死んでしまいます。死んだサンゴにはコケが生え、次第に海中の岩として次のサンゴが生まれるための土台となり、サンゴ礁の生命を支えていきます。しかし、新たなサンゴが生まれても同じ様な景観にまでサンゴが回復するには、かなりの時間と数々の障害を乗り越えていかなければなりません世界でも、サンゴは近年非常によくない状態(減少方向)になっていて、ある調査によると間接的、潜在的な人間による影響が約60%、異常気象などによる自然環境の変化による影響が約40%だそうです。
私達人間が生きている限り、間接的にではあれサンゴに影響を与えることは避けられません。しかし、どうすることもできない、関係ないといってないがしろにしていると、サンゴの破壊や減少は、今後もますます増えていくでしょう。
太古の時代から生きてきたサンゴが、私達の時代で消えてしまうなんていう悪夢は、なんとしてでも避けなければなりません。こうした状況を打開するには、世界レベルでの自然への意識の改革が必要です。しかし、これは「言うは易し、行うは難し」です。サンゴの障害を取り除く鍵は私達人間にあると思います。この企画が世界的に広まって成功していけば、こうした現状を打開できる糸口も見えてくるのではないかと期待を込めて、植え込んだサンゴを見守っています。
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