コード:ANAA,ANAB,ANAC,ANAD


概況

放流ポイントは石垣島の名蔵湾という湾の奥部に位置しています。

湾の最奥部には名蔵川という石垣島最大の河川の河口があり、河川水に溶けた大量の栄養塩が流れ込み、富栄養の水質環境となっています。
富栄養とは海水中に大量の窒素やリン等の栄養塩が溶けている事で、最近では深海の「深層水」に見られる大きな特徴として、栄養豊かな水というような良いイメージで取り上げられていますが、サンゴ礁にとって富栄養環境はそのまま「汚れた環境」という事が出来、大きな問題となります。また地上からの赤土の流入による影響も大きく受けている海域です。

上記の河川水と赤土汚染による影響は、湾奥という地理的条件から、さらに大きな影響をサンゴ達に与えています。つまり海流がどんどん流れる場所であれば、これらの陸上からのマイナス要因もすぐに潮流で流され、サンゴ礁に対する影響は薄められるのですが、湾奥では外海との海水の交換がスムーズでない為に、いつまでも悪影響を及ぼす要因が堆積されていくという事です。
1998年の海水温の上昇による大規模な白化現象の際も、この海水の交換がスムーズでないという地理的条件が災いして、水温がどんどん上昇してしまい壊滅的な被害を受けた場所です。

一方で、湾奥ならではのメリットもあります。
最大のメリットは台風による被害を最小限に留めることが出来るということです。入り江のような地形が波を防いでくれるので、豊かで大きなサンゴ礁を育むことが出来るのです。このことは台風を控えた時期の移植放流には、とても大切なポイントです。

今から20年ほど前、土地改良事業等が行われる前は、名蔵湾は水辺までビッシリと色とりどりのサンゴが埋め尽くす、とてもきれいな海だったということです。
今は、当時を見る影もありませんが、少しずつでも本来の姿に戻すことが出来ればと思います。


環境悪化による被害

現在でも白化したサンゴがあちこちで見られます。

直径2メートルほどの岩。以前は、この岩全体がハマサンゴの群体でした。

この大きさになるのに100年とも200年とも言われています。

半分だけ生きている塊状サンゴ。

赤土が厚く堆積した海底。

白化したミドリイシを食べるレイシガイの仲間。

ミドリイシの根本や枝の間にはレイシガイの仲間が沢山います。
健康なサンゴは、これらの食害生物達から身を守る能力を持っていますが、白化等によって防御能力が低下すると、一気にこれらの生物に襲われてしまいます。

 

現在も生きているサンゴ達

現在も生きているミドリイシ。

枝の間には、サンゴハゼやサンゴガニもいます。

生きているサンゴがあるところには、魚達が集まってきます。

ミドリイシを隠れ家にする魚たち。

黄色いネッタイスズメダイやオヨギイソハゼが群れています。

今年生まれたミドリイシ。

沢山の幼魚達が集まっているミドリイシ。

デバスズメダイやネッタイスズメダイの今年の春に生まれた幼魚達です。

 

住んでいる生き物たち

イシガキカエルウオ。穴から顔を出しているところ。岩には沢山の穴があいており、危険を感じたりするとすぐに穴の中に隠れてしまいます。でも、穴が途中までしかなくて顔が見えてることも・・・。

移植放流している根に住んでいるサザナミヤッコ。幼魚の色から成魚の色に変わっている途中です。

ヒレフリサンカクハゼとキンセンハゼ。

根の下の砂地に住んでいて、ヒレフリサンカクハゼは、一番前の背鰭を立てたり倒したりする習性があります。

タマイタダキイソギンチャクとハマクマノミ。

今年の春に生まれた幼魚たち。

生きている枝状サンゴの周辺には沢山の幼魚たちが集まっています。危険を感じるとすぐに枝の間に隠れてしまいます。枝状サンゴは幼魚にとって絶好の隠れ家になっています。